先行展示

 

 

『九州大学・医学の歩み-寄生虫学の展開と医の文化-』

会場:福岡市博物館
会期:1999年6月22日~7月11日


 現在、寄生虫という言葉は忘れ去られた感があります。しかし、人類の5分の3はいまだに寄生虫の害に苦しんでいます。しかも、寄生虫の薬剤耐性獲得、環境の乱開発、戦争、貧困、地球温暖化など多くの因子が背景にあって、寄生虫問題の解決は、人類にとり避けることのできない重要な課題であることが明らかになってきました。九州大学医学部(現在は大学院医学系研究科)は、1903年に京都帝国大学福岡医科大学として創立されて以来、1世紀に近い歴史の中で多くの研究業績をあげてきました。初代の衛生学講座の教授である宮入慶之助先生は、住血吸虫の感染経路を明らかにするという世界的な業績で医学史に名を残されました。九州は、その地理的位置から寄生虫病の多いところでしたので、多くの研究者が各種の寄生虫の研究を行い、寄生虫病の予防と治療に大きく貢献しました。今回の展示では、研究者たちの寄生虫病に対する取組の流れと、併せて歴史上の寄生虫にまつわる医の文化を紹介しました。


 

『雲仙普賢岳の噴火とその背景 』

会場:アクロス福岡
会期:1998年6月11日~29日


 1990年11月、約200年ぶりに雲仙普賢岳が噴火を開始し、溶岩ドームを形成し、火砕流を頻発し、多数の犠牲者と多大の被害を出しました。この噴火は規模の大きさからして、雲仙火山としてはまさに数千年に一度の大噴火といえます。
 九州大学では、理学部附属島原地震火山観測所を中心とする大学関係者が一丸となり、噴火の兆候からマグマ脈動の停止に至るまでの全過程を科学的に追求し、膨大な観測データを得ました。その一部を展示公開することによって、雲仙火山の研究の一端を広く一般に紹介するとともに、自然現象およびそれによって生じる自然災害に対する認識を一層高めていただくことを目的としました。



『倭人の形成』

-九州大学古人骨資料から見た日本人の形成-

会場:福岡市博物館
会期:1997年6月7日~29日

 「倭人」とは日本人に対する古い呼称です。倭人すなわち日本人の形成過程という問題は、明治以来、人類学・考古学をはじめ、さまざまな分野の研究者によって論議されてきました。こんにちでは、縄文時代から弥生時代への転換期に渡来人と在来の縄文人が混血して、現在の日本人の形質的特徴(顔つきや体つきの特徴)の原型ができあがったという説が定説化しています。その過程で重要な研究・論争の中心的役割を果たしたのが、九州大学の弥生・古墳時代人骨資料とそれに基づく研究でした。本展示では、日本列島に最初の人類がその足跡をしるしてから、現在の日本人の形質的な特徴が形成されていく道のりを辿り、「縄文人から現代人までの変化」、「縄文人と弥生人の比較」、「渡来人のルーツと渡来ルート」、などのテーマについてこれまでの学説を紹介しながら示しました。