博多湾や東京湾など、大きな都市を控える湾の奥部では、緑色の海藻であるアオサ類がたくさん増えて問題になっています。海岸をおおうように打ち上がるだけならまだしも、それが腐敗したりすると周囲にひどい悪臭が漂うことになるからです。

博多湾奥(和白付近)を埋めつくすアオサ

なぜこのようにアオサ類が大量に増えるのか?
海藻類も植物で、海水中の栄養塩(C 、N やP)を利用した光合成をおこない生活しています。大きな都市を控えた内湾域では、生活排水などからでる栄養塩が余るほどたくさんある状態になっています。これを「富栄養化」といいます。富栄養化した海は、アオサ類にとっては格好の生育場所です。アオサ類は胞子で個体数を増やしますが、体がちぎれて増えることもできます。体の断片は、栄養がたっぷりある所ではとても早く成長でき、2,3 日で大きさが倍になるほどです。ですから、どんどん増えることになります。

3m近い巨大アオサ

アオサの大量堆積

これからどうしたらよいか?
 アオサ類が増えないようにする良い方法は今のところ見つかっていません。できるだけ集めて捨てているのが現状です。これは我々にとって困ったことです。しかし、決して忘れてならないことは、アオサ類が増えるのは、我々人間がそういう環境をもたらしたからです。難しいことかもしれませんが、できるだけ水質を浄化していく努力が必要なのです。


作成者 川口栄男  かわぐちしげお (農学研究院動物資源科学部門) 
高口由紀子 こうぐちゆきこ (生物資源環境科学府動物資源科学専攻)