原始的な昆虫類が地球上に出現したのは、今から3億年以上も前のことです。人類の歴史は約50〜100万年ですから、昆虫類は人類の大先輩です。翅を獲得し、変態するようになった昆虫類は、その生活圏を大きく拡大し、進化の道を歩んできたのです。その結果、現在、地球上でもっとも繁栄している生物は昆虫類といっても過言ではありません。その種数は100万種以上と推定され、すべての生物の種数の約54%を占めるといわれています。このように、昆虫類は地球という舞台で繰り広げられている進化のドラマの主役なのです。 昆虫類の生活場所は実に様々で、温帯や熱帯の森林や草原、耕作地、家屋内はもちろん、極地や高山、氷雪上、砂漠、水中、ときには、海中や塩田、温泉にも生息しています。そのために、様々な場面で、直接・間接的に人とのかかわりがでてきます。例えば、農林害虫や衛生害虫、家屋害虫、それらの天敵、環境の指標や多様性の尺度となるものなど多種多様です。また、カイコやミツバチなど人間が古くから利用してきた昆虫類も多いのです。 九州大学は日本最大の昆虫コレクションを誇っており、様々な角度から昆虫類の研究を続けている多くの研究者が結集しています。この昆虫展では、これらの研究者の研究成果を踏まえて、昆虫類がいかに多様であり、人々の生活に深くかかわってきたか、そして人と昆虫が共生することの大切さをお伝えしたいと思います。 |