■総長挨拶■

 九州大学は、1903年京都帝国大学福岡医科大学として設立されて94年、工科大学の設立を待って九州帝国大学と称されて86年を経ました。
この間、世界的業績を積み重ね、アジアを世界への門戸として教育、研究実績の輪を広げ、世界の中核的研究拠点として成長を遂げてまいりました。
 この100年に迫る歴史のなかで、アジアを中心とした膨大な学術標本、記録資料が蓄積され、他に類をみない研究実績に結実いたしました。
 しかし、その多くは学内各部局での活用に止まっており、その現状を脱し部局を越えた学際的利用が容易で、かつ社会や世界の研究者が自由に活用出来る教育と研究の場としての大学博物館“UNIVERSITY MUSEUM”の設立が構想、企画されております。


 この博物館は、太宰府に設立予定の国立博物館との密な連携をはかり、相互の機能強化を果たすことと、発達のめざましい情報手段を駆使することにより、『開かれた大学』として『貴重な生きた資料』を世界で共有し、教育・研究に供することを意図しております。
 この博物館設立構想の一環として、展示会を福岡市内で開催することにいたしました。その第一歩として5月に開学記念行事として『日本人の起源』をテーマに選び、都久志会館において開催し、多くの市民の皆様方から大変好評を得ました。


 今回は、福岡市博物館との共催により『倭人の形成』として展示いたしました。これは、弥生時代以降「倭人」と呼ばれた人々がどのように形成されたのかを、九州大学所蔵の古人骨資料やコンピュータ・グラフィックス、九州大学の人類学者・考古学者の業績を通して展示し、「日本人の起源」に関する今日の議論の最前線を分かりやすく紹介するものです。
 今後も異なったテーマで展示を継続する予定です。各展示を通して、九州大学の研究活動とその歴史の一端を御高覧いただければ幸いです。

平成9年6月7日
       九州大学総長 杉岡 洋一


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