魚類・
動物剥製
Fishes and stuffed animals
魚類の収集品は大きくいくつかに分けられます。一つは戦前から戦後にかけて活躍された魚類学者である内田恵太郎博士の収集品で、朝鮮半島の淡水魚類を中心とした魚類の集大成である『朝鮮魚類誌』の執筆に用いられた重要な標本がそろっています。朝鮮統治時代の古い標本ですが、後継研究者らの手厚い管理により、現在でも美しいままの液浸標本として保管されています。博物館ができて早々に、農学部より移管されました。現在でもアルコールの交換や補充が行われています。その他、同じく農学部由来のウツボ類などの海水魚の標本も多くあり、九州大学におけるウナギ類の研究とも関連し、学術的にきわめて高い価値を持ちます。
魚類標本は光によって容易に劣化するのと、エタノールの気化やホルマリン臭の問題により、非常に展示が難しい収蔵品でもあります。しかし、学芸員資格関連の実習や、限られた機会にはなりますが、学生の希望による見学によって、できるだけ活用できるようにしています。今後は写真撮影等を進め、利用しやすい環境を整えたいと考えています。
不思議なことに、もともと九州大学全体に哺乳類の収蔵が多くありませんでした。農学部の旧動物学教室には貴重なものがありますが、まだ移管は受けていません。
しかし、一般的な自然科学の展示において、哺乳類の剥製は欠かすことのできないものであり、いざ博物館が開館した際に、急いで手に入れることは困難であることから、10年ほど前の2年間、大学からの予算をつけていただき、剥製の収集を行いました。
その際には、糸島市や福岡市の猟師さんたちに狩猟品を寄贈していただくこともありましたが、もっとも多かったのは、伊都キャンパスの門の前で、交通事故によって死んだ個体が拾得されたものでした。当時、キャンパスはできて間もなく、もともと動物たちが住んでいた場所に道路を通したことから、毎日のように多くの哺乳類が犠牲となっていました。アライグマ、ノウサギ、タヌキ、テンなどがその主要なものです。
多くの方々の協力があって、たくさんの死体が集まり、福岡県内のシカを除くすべての大型陸生哺乳類がそろいました。そして、死体は専門業者によって美しい剥製となり、しばしば展示に活躍しています。最近では日本に数個体しかないニホンアシカの剥製も収蔵品に加わり、いつか多くの人たちへ常設的に公開できる日を待っています。